綾子 諏訪
コンセプチュアルガストロノミーのビジュアルアーティスト
諏訪綾子さんは感覚的かつ創造的表現手法としての食事を探求するアーティストです。イベリコセンスの原産地への旅の中で、挑戦、バランス、繊細さに満ちた美学をイベリコハムの中に見い出しました。それは自らの創作手法に響くような本能的、感情的、そして奥深い視覚的な体験でした。
自然
諏訪さんにとってデエサは、セイヨウヒイラギガシ、光、動と静といった、自らの声を持つ風景のように映ったようです。イベリコハム・ベジョータはイベリコ豚から作り出されますが、モンタネーラと呼ばれるその放牧期間中はそこで自由に暮らします。このような生態系はイベリア半島にしかなく、こうした偶然が重なって製品に香り、味わい、食感が広がり、美食の宝石のような存在へとなります。
味わい
諏訪さんにとってイベリコハムは繊細で、深い味わいが残る食体験でした。スライスの1枚1枚がどのように記憶を呼び覚まし、気持ちを呼び起こし、さりげなく印象を残す事ができるのか驚いたようです。塩味、甘味、そしてその自然の旨味のバランスが感覚的なものから新しいものを創り出す自らの手法と結び付きました。言葉なしでしか理解できない食材です。
時間
このグルメ食材の製造の各工程においては、ハムの原木が程良くなった事を語りかけてくれるまでそのままにしておき、急ぐような事をしてはなりません。ハム職人は針刺し(カラード)と呼ばれるテクニックを用いて原木の質の良さを確認します。イベリコハムにとって時間とは、その繊細さと本格性において鍵となる要因です。

「他とは比べられない環境はインスピレーションであり、美しさでもありますが、とりわけ責任感を伴うものです。それは未来に対し、過去、現在、未来との間でバランスを取るための約束なのです。私の仕事において、自分の作品は、独創性や美しさだけを伝えるのではなく、未来について語るものでもあります。」

-綾子 諏訪
コンセプチュアルガストロノミーのビジュアルアーティスト
サステナビリティ
イベリコハムの製造は、環境、動物、手作りの加工法の本当の意味での調和によって生まれます。大地から食卓に至るまでの1つ1つの工程が、厳しく管理されており、全て明確な目的と本質を尊重するためのリズムを持ち合わせています。その本質を変える事なく、ありのままを尊重します。
芸術
諏訪さんはガストロノミーをキャンバスとして見ており、イベリコハムの中に厳しさ、プロ意識、伝統への敬意への高い基準により特徴付けられる様式的でありながら美的なものを見い出しました。スライス1枚1枚が全ての感覚で称えられる芸術作品へと昇華されます。自らの芸術的感受性があらゆる感情をこの食材の中に見つけ出しました。
文化
イベリコハムはその味わいのひと時以上のものです。それは習慣であり、共に分かち合うための振る舞いであり、人生を理解するための手段でもあります。お祝いの場だけではなく、普段の場にも出す事ができます。ただ単に味わうだけでなく、分かち合うためのものでもあり、それがその味わいにも現われます。イベリコハムには繋がりや結び付きがあり、そして忘れられないものでもあります。