
イベリコハムを味わうのはほんの数秒。しかし、その製造には時間がかかる。
イベリコハムを味わうのはほんのわずかな時間だけですが、これを手に入れようとするには莫大な時間がかかります。
イベリコハムの加工工程を特徴づけるとすれば、長時間に及ぶ加工と熟成をベースにした自然を利用した工程であるという事です。イベリコハムの製造を規定する品質規格 (RD 4/2014) には熟成期間は少なくとも20か月としていますが、実際の熟成期間は通常何年にも及びます。イベリコハムの比類のない香りと味を堪能するためには4年から7年もかかります。
時間が全て
1つの血統が確立するまでには何年も要します。オークがドングリの実を付けるまでには何十年もかかります。1つの伝統を伝承するには何世紀も必要となります。イベリコハムも私達のアイデンティティの一番の象徴となるには時間、それも長い時間を要します。
塩蔵の時間
1日1kg
塩漬けにする前に原木の形が整えられます。そして1日約1kgのペースで原木全体を湿塩で覆います。塩が使われるのは水分を除去し、自然なかたちで保存できるようにするためです。
静置、乾燥の時間
1~3か月
イベリコハムは様々な部屋を移動しますが、部屋を移動する度に段階的に温度が上昇し湿度が下がります。こうして塩分を均質に行き渡るようにします。
熟成の時間
2~3か月。
イベリコハムは、土地の気象条件の恵みによって湿度と温度が窓の開閉により管理されている天然の乾燥場にて保管されます。ですが倉庫で熟成させる事もできます。涼しくて光が当たらない場所でイベリコハムの原木はじっくりと熟成していきます。この段階で原木は「汗」を生み出します。これは、イベリコハムの他にはない味わいと香りの肝となる浸透した脂肪分が周りに広がるという事です。イベリコハムがその特徴的な香り、食感、色合いを帯びるのはこの熟成期間の間なのです。
カラの時間
ほんの数分で
イベリコハムの職人は、原木の成熟具合が適切であるのかを乾燥場から取り出す前に触るだけで判断します。場合によっては伝統的な「カラ」と呼ばれる針を差し込み、その原木を販売するには完璧な状態であるのかを確かめます。
堪能する時間
4、5、6、7年も
イベリコハムの美味な料理が味わえるようになるには時間を要します。静けさの中で目の前につややかさが広がり、滑らかに繊細に溶け出すのが感じられます。その比類のない香りと味は世界でも唯一無二のものです。口の中では一瞬ですが、その時感じた追憶はずっと続きます。